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カラタクDJストーリー #2 Akira Hagiwara

ラフ&ピースが手掛ける“音楽でつながる人とお店”をキーワードにしたウェブサービス「カラタクⓇ」との連動企画。DJを通じて音楽を楽しむ愛好家たちの姿を対談形式でお届け。生計を立てる本業ではなく、ホビーとして誰でも手軽にDJをスタートできるようになった現在、様々な人がこのカルチャーに触れ、各々のライフスタイルを彩っている。

 

連載第2回目の語り部は、「カラタク」の発起人であるAkira Hagiwara氏。

 

バンド活動、飲食店経営、様々な活動と音楽への深い愛情から生まれた熱い情熱を言葉にしてもらった。

 

 

  • ●カラタクのサービス概要について教えてください。

 

 

一言でいうと「DJブース予約システム」です。そもそも顧客目線での”予約サービス”なんですよね。この点がまずもって今までになかったツールだと思います。しかしそれがただのシステムであるだけでは侘しいので、SNS的な要素を加えました。SNSやソシャゲ、際限なく進化できるだけに線引きは難しい気はしますが。DJ/選曲家がお店とつながるというのがミソ。だけれど、この”DJ”というワードが食わせもんなんです。DJと聞いてどんなことを思い浮かべますか?よくある反応No.1は「難しそう」です。

DJの仕組みを知っている僕からすると決して技術的に難しいものではなく、センスだったりロマンがDJの選曲の善し悪しを決めると、僕は思っています。ですが一般的なDJへの印象はというと「難しそう」がまず前面に出てきます。この概念を覆そうとする、柔和にする、それがカラタクの役目だと思っています。

たとえばスポーツを気軽に楽しむような。バスケットやサッカー、野球なんかはこどもも大人も誰でも簡単に挑戦できるし、各々のレベルで楽しんでいる。「難しそう」のハードルはそれぞれですが、気軽に参加できているんですね。

ちょっと抽象的になってしまうのですが、選曲というホビーにおける「草野球」ならぬ「草DJ」というレイヤーをつくることが、カラタクの概要です。

 

 

  • ●DJは選曲の難しさというか機材の操作が「職人技」に見えますからね。実際はそんなことはないのに。ご自身のDJ経験というか音楽遍歴がカラタク始動のきっかけなのでしょうか?

 

 

僕はもともとバンドマンで。ライブハウスやスタジオにばかり出入りしてる音楽ヘッズだったわけです。あるときから打ち込み音楽と同期させるスタイルのバンドを始めたので、ライブする場所がCLUBになったんですよね。それから”DJ”という存在がやたら気になるようになり、百聞は一見にしかずということで渋谷の小さなCLUBのスタッフにアルバイトを志願し、そこから僕のCLUB人生はスタートしました。

それから足掛けもう20年くらい、いろいろなものを見させていただいて。ライブハウスのこと、CLUBのこと、バンドマンのこと、DJのこと、そしてレーベルやプロダクションや作曲家や職業ミュージシャンの方などなど、音楽に携わる様々な方面とつながることができました。

 

 

●自分の肌で現場を感じてきた、ということですね。多くの変遷を目の当たりにしてきたのではないですか?

 

 

僕が見てきたこの20年間で、明らかに時代が変化していきました。そしてその変化のカーブは、残念ながら下降線です。

質や魅力の意味ではなく、マーケット規模として。ひとことで言ってしまえば、お金の話です。業界全体に金銭的な閉塞感があると年々強く感じるようになりました。そうなると当然やれることが限られてくる。好きなことばかりできなくなる。”稼ぐために”動かなくてはならなくなる。現在音楽業界にいる皆さんが歯をくいしばって闘ってることや無念の涙を飲んでいる様子が、想像できてしまうんですよね。

個人的には、音楽やアーティストにはビジネスとしてだけではなく、魂で向き合いたいと思っていて。そのために僕ができることはなんだろうってずっと考えてました。その答えがカラタクだったんです。重複してしまうのですが、「草DJ」という新しいレイヤーをつくる。これはすなわち、新しいホビーです。そうなれば、サッカーや野球のように、「DJのタマゴ」「アーティストのタマゴ」がたくさん生まれると思ったんです。

言い換えれば、「競技人口を増やす」ということ。そうなればスターも生まれやすくなるし市場規模も増大する。音楽業界が潤う。投資ができる。夢を描ける。

そう、つまり音楽の未来のために、カラタクはつくられたのです。

 

 

●音楽業界の未来や、新しい芽を育むために始めたというわけですね。次世代のスター誕生を願いそのための土壌を作りたいという。

では、カラタクのキャッチコピーである「音楽でつながる人とお店」とはどんな意味でしょうか?また、コレを体験したエピソードがあれば教えてください。

 

 

これはたぶんみんな経験のあることだと思うのですが、音楽に思い出が紐づいていることってよくありますよね。何かで見たのですが、音楽と匂いは記憶と密接な関わりがあるのだとか。僕がひとつ挙げるならばRed Hot Chili Peppersの”Around The World”を聴くと、中学2年のときに青春18切符で函館まで行って人生初のライブハウスに入場したときにかかってたんですよね、その衝撃を引きずったままそのあと地元のヤンキーに絡まれてたいそう怖い思いをする、という若き日の苦い思い出がこの曲を聴くと想起されるんです(苦笑)

これは音楽が記憶を繋ぎとめてくれるという話ですが、音楽は人と人を繋いでくれます。音楽は記憶や思い出とセットで存在しているので、そのことがハブになり、人間と人間のあいだに”共感”が生まれるのだと思うんですよね。

 

 

●なるほど。音楽体験が人の経験を彩っているといっても過言ではないですね。

 

 

そうですね。そのための場所というか「サードプレイス」を作りたくて。2013年に東京でラフ&ピース合同会社を設立して、高円寺という街で「割烹DISCO 大蔵」というDJ居酒屋をオープンしました。そのときはただノリで、当時好きだった和食と、音楽を合体させただけだったんですが(笑)、経営していく中で、音楽を通じて人と人が繋がっていく姿を目の当たりにするたび、「あぁサードプレイスってこういう場所のことだなぁ」と感じることができたんです。

 

 

●来店するお客さんにとっても一期一会ではない特別な出会いがあったんじゃないですか?

 

 

それこそ何組ものカップルを輩出して(笑)、結婚に至ったことも少なくないですね。

そうして設立からほどなくして会社の企業理念を「サードプレイスの創出」としたのですが、それからの10年はまさしくサードプレイスづくりに奔走しましたし、カラタクというのは「サードプレイス創出システム」なわけです。

こうゆうのをフランチャイズとか言うのかもしれませんが、イメージとしては花の胞子が空を舞い風にゆられて旅をして日本中世界中に広がっていくような、そんなファンタジーなイメージを抱いてます。

 

●カラタクは「サードプレイス」の新たなステージという感じ?

 

これまでに10件ほど直営店舗で試してきて、他社様の店舗プロデュース事例なども含めると相当数のサンプルを経験してきてるので、そんな「サードプレイス創出」をカラタクというウェブサービスに転嫁したと捉えると、そうなりますね。これが機能しないという未来はまったく想像つかない。もしそうであれば運営のやりかたの問題か、ガス欠なんじゃないですかね(笑)

 

 

  • ●「サードプレイス作り」の概念はぶれていないんですね。音楽にまつわる交友に奔走してきたアキラさんにとって「MUSIC is MY HERO」とは?

 

僕にとって初めてのミュージックヒーローはGLAYでした。大きくなってからはレッド・ホット・チリペッパーズ。でも深く思い返してみると、最も僕に勇気を与えてくれているのはTHE BLUE HEARTSの甲本ヒロトさんかもしれません。あの愚直なまでのストレートな優しいメッセージが、こんなにもたくさんの人から愛されているという事実が、僕にとっての大きな希望なんです。

現代社会は、ともすれば正直者がバカを見るような世の中にも思えます。だけどあんなにも一途に純粋に音楽をロックンロールを愛し続けている存在がひたすらに表現を続けてくれていること、それだけで頑張れます。

ただ、アイコニックな著名人だけではなく、僕にとっては音楽そのものがもうマイヒーローなんです。音楽ってすごい。魔法なんじゃないかな。楽器のアンサンブルだけでもマジカルだけれど、そこに歌やメッセージが加わって、思いを伝える手段にもなってくれる。音楽の力は偉大です。

 

  • ●音楽の力を信じるアキラさんが想い描くカラタクの今後のビジョンを教えてください。

 

 

カラタクはお陰様で順調に認知度を伸ばしていると思います。それはシステムを導入してくれる店舗様があって、使ってくれるユーザーさんがいて、拡散をしてくれる人たちがいればこそ。とてもありがたいことです。

しかし我々が到達したいレベルとしては、先ほども伝えましたが「音楽界に潤いを」与えるほどの規模感であり、具体的には「全国のどこででもカラタクと触れ合える」ほどのオーバーグラウンドな規模感を目指しています。

そこに向けては2軸が必要だと思っていまして、1つにはコツコツと加盟店やユーザーを増やしていくこと。コンスタントに動くシステムであり続けること。そしてもう1つには、なんらかの方法で認知にブーストをかけること。

大切なのはこの2点のバランスだと意識していて、カラタクはあまりにもゼロイチのサービスであるがゆえにライバルもいないけど前例もまるでない。だからこそ”コツコツ”積み上げていくことも大切だし、かといってそれだけではお爺さんになってしまうのでしかるべきタイミングで加速させなくちゃいけないなと。これにはいくつかの道があると思っていますが、それはまた別の機会に(笑)

 

 

  • ●最後に、カラタクユーザーやミュージックラバーに向けてメッセージをお願いします。

 

 

大げさな話ではなく、カラタクには音楽の未来がかかっていると自負しております。ミュージックラバーが増えて、音楽業界が潤えば、音楽の在り方がもっとゆたかになるし、そうなれば人間もゆたかになれるはずなんです。

音楽は楽しい気持ちをさらにハッピーにしてくれるし、悲しい気持ちにはそっと寄り添ってくれます。音楽がもっと身近になることで、キッズからお年寄りまでみんなみんな毎日がきらめくはずなんです。

音楽というのは聴くだけが楽しみ方じゃない。歌ったり奏でたり、選曲することだって立派な表現。その門戸は誰に対しても開かれているんです。

それをもっとも簡単にしてくれるのがカラタク。カラタクがあればたくさんの人生がもっと輝く。その普及についてのお手伝いをしていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。ユーザー登録してくれて。SNSで紹介してくれて。ピンとくるお店があればこっそり教えてくれて。それでもう十分です。音楽の力で世界をハッピーに!カラタクをよろしくお願いします。

 

 

————————————————————-

 

 

【Akira Hagiwara】

飲食店等サードプレイスをつくるラフ&ピース合同会社の代表、カラタク🄬の発起人。

また学生の頃からベーシストとして活動し今もずっと音楽がライフパートナー。

現在はサーフポップバンド”boracayjapan”にてギタリスト。
嫌いな言葉は『体裁』『ビジネスライク』
権力者が人を欺く世の中は大嫌い。
PUNKが込められたPUNKを感じるPUNKフルネスにあふれたクリエーションのみを追い求めその冒険の旅は続く。

 

 

【カラタクⓇ】

「MUSIC is MY HERO!」

音楽でつながる人とお店。DJブースを活用した飲食店と人を繋げるWEB集客サービス。登録加盟店舗随時募集中。

WEB:https://karataku-dj.com/

SNS:https://lit.link/karataku

 

 

【interview/text】

佐藤 徹平(LP Magazine)

 

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