
夜明けの歌と空脳アワー

夜明けの歌と空脳アワー
突然だが聴きたくなった
eastern youthの「夜明けの歌」
僕の青春時代を象徴するような一曲で、人生の色んな場面で耳にしては感情を揺さぶられてきた紛れもない名曲だ。
しかし
あくまで僕個人が抱えるバグなのだが、この曲を聴くとなぜか毎回ある映像が頭にフラッシュバックしてしまう
中肉中背の男性が窓をぺろぺろと舐め回している映像
これには思い当たる出来事がある
青春にまつわる思い出だ。
「青春」と聞くと学生服姿の高校生時代を思い浮かべる方は多いと思うが、残念ながら学生服状態で僕が青春を享受した記憶は無く、それは大学生時代になってくると思う。
そんな大学生時代の中でも明確に
「あ、これが青春だな」
と思える時期があった。
2階生の夏休みのこと、いつものように居酒屋のアルバイトを終えた僕は帰路につこうとしていたが、どういう風の吹き回しかたまには差し入れでも…と思い立ち、近くのカラオケ屋で働く先輩に差し入れを持って行くことにした。
平日深夜の個人経営のカラオケ店。客もまばらで、退屈そうに仕事をする先輩が出迎えてくれるわけなのだが、数人の先輩が遊びに来ており歌うわけでもなくただただ時間を共有している感じだった。
僕はこの夏休みの間、
居心地の良さにここから毎日通うようになる。
何をしたわけでもないしドラマがあったわけでもないが、この先輩のバイト先に遊びに行ってだらだら過ごしていた夏休みのモラトリアム感こそが僕の青春だと今思い返しても思う。
そんな日々も極まった頃、たまにはちゃんとカラオケするか…ということで後輩なども集めて盛り上がったのだが、
この夏の青春にあてられていた僕は、朝5時のカラオケで最後にこれを…とeastern youthの「夜明けの歌」を歌った。
その時共に合唱する者、疲れてぐったりする者もいた。そんな中、1人朝日に向かって窓に張り付いてぺろぺろと舐める先輩がいた。
これは僕の脳裏に焦げ付き、その後この曲を聴くたびに何度も
フラッシュバックすることとなる。
まさに思考のバグ。脳みその謎機能である
僕はこのような思考のバグやブレ感というものがとても好きで、人のそういった経験談や記憶とイメージのズレなど、なんとも薄ぼやけた感触の話を聞くのも好きだ。
そんななんとも掴みどころのない事象をテーマに取り扱っているコンテンツで僕が最も影響を受けたのが
「空脳アワー」
「空脳アワー」というのはTBSラジオ伊集院光 深夜の馬鹿力の中のコーナーで、良い投稿が集まると不定期で行われる息の長いコンテンツだ。
「久しぶりに会った家族に幼少の頃負ったケガの話をしたら『それはお姉ちゃんの話でしょ?』と母と姉に言われ傷も見せられた。では自分の傷は何なの…」
「同窓会にて、『安達祐実さんが同じ学校の同級の別クラスにいて、多忙のためあまり登校はしていなかったけれど本日も来られなくて残念』いう話をしたところ、そんな事実は無く全員から笑われた。自分の記憶だけ何かおかしい」
「肛門が焦げるような熱い屁をした時だけ頭に浮かぶ架空の交差点がある。車に乗っていて、海沿いで、十字路で。そのまま自分は空高く登っていき我に帰る。この交差点は実在しているような気がする。」
自分が好きなものでいくつか例に挙げるとこのような感じで、選ばれる基準が単純に「怖い」「強いエピソード」ではなく「いかに脳がバグっている感覚が伝わるか」で選ばれているところも僕が好感を持っている点で、毎回不思議な気持ちと好奇心でわくわく、時々ゾッとさせられる。
今聴ける媒体は合法の範囲では存在しないが、どんな投稿があったか検索してみるのもオススメしたい。
僕の「夜明けの歌」に焼きついた「窓ぺろぺろ男」もまた、
空脳とはまた違うかもしれないが
脳みそのバグとして楽しく付き合っていきたい
バグっていきたい