
植物のカタチ

植物のカタチ
上野 国立科学博物館で開催していた(2021.7.20〜9.20)
特別展 植物 地球を支える仲間たちを観てきました。
久々に植物に対して科学的な目線で触れ合うことができて面白かったですね。
このマガジンは「カルチャー=文化」を取り扱うものなのですが
植物と共に生きることが、果たして一概に「文化」の範疇と言えるかは謎ですね。
科学の分野かなと思わざるを得ないものでもあります。
いやいや、ライフスタイルとして花や観葉植物とともに生活するのは完全に文化やろと言われればそれまでですが。
うん。
特別展 植物 地球を支える仲間たちが素晴らしかった点は
(まあ完全に主観ですけど)
私が思う植物のここがいいよね〜第一位の
“多様性”がしっかり伝えられているなと思えたところ。
ダイバーシティ。
植物、と一口にいっても、
誰でも想像できる通り、形が千差万別なんですね。
植物の形がみんな一緒だったら、花屋ってめっちゃつまんないだろうな〜
最悪全部バラの形なら、「バラしかない花屋」、、、バラならまだちょっとイケてるかもしれないけど、
この世の花が全部カスミソウの形だったら花屋成り立たないだろうな〜
(カスミソウのアンチではない)
いろんな形があるんですよ。
そんで、形がたくさんだったからって何がいいの?
ということであれば、こう答えます。
植物の千差万別な形状は、それぞれの生存戦略に基づいた機能美を有する。
と。
小難しいこと言ってんなと思われるでしょうけど、
要はみんな、
生きるために、理由があってその形になってるというわけです。
私の大好きな蘭であるパフィオペディルムは、
(地球を支える仲間たち公式ガイドブックによると)
花弁に奇妙な斑点があるのですが、これはアブラムシがたかっている様子に擬態しているとのこと。
しかもちょっと「アブラムシにたかられている」臭いも出してるらしい。
そんな臭いだすな。
なんでそんなかというと
「アブラムシを食べるハナアブをおびき寄せるため」とのこと。
そのハナアブをを介して受粉、つまり子孫を残していくわけです。
パフィオペディルムは「アブラムシにたかられてる」みたいな奇妙な見た目をしている。この文章だけだときもいな。
でもその見た目が生存戦略になっている。
でもきっと、「よーし、俺たちはアブラムシにたかられてる感じ出す方向で生き延びていこうぜ」って“考えて”そうなったわけではないですよね。
そこが不思議で、神秘的でカッコいい。
デザインされている。
ほかの例で言えば多肉植物。
私たちが普段花屋で目にする観葉側物、たとえばパキラとか、ガジュマルとか
いわゆる観葉植物、ってイメージのモノと形違いすぎません?
枝もないし、なんか葉っぱばさーって感じじゃないし
なんかぷくってしてて、ひとつ、って感じだし…多肉植物ってひとつ、って感じ?
多肉植物が自生する地域って、総じて乾燥地帯なんですね。
頻繁に水分を得られないから水を体に貯めとかなきゃいけない。
体に水貯めてるって理由があるからあんな変な形。
あと、リトプス・ジュリィとか、石みてーな見た目の多肉植物もあるけど、これは擬態ですね。
乾燥地帯の石の周りにこういう植物があると、正直人が見ても全然気づかないです。擬態ってすごいよね。動物の擬態も好き。
植物と共に生きるという、文化的な生活を送りたいのであれば
その植物のがもともとどんな所に住んでるのかを知ることをお勧めしたいですね。
今回の展示のパンフレットで「植物という生き方」の章で、植物が移動しないことを「植物は動く必要がない」と書かれています。
すべてその場所で生きるのに事足りるように完璧にデザインされている。
神様がデザインしたのか、大きな時間の流れが生んだ奇跡の集まりなのかは知りませんが
移動しないことも含めて、それが生き延びるための最善の手段であるという
あまりにも合理的な理由で「そのようにある」という、デザインの極みみたいなものが、生物の多様性なのかな、なんて思っちゃいます。
植物の魅力を紐解くキーワードは
多様性
機能美
造形美
共生
突然変異
スケール感
この辺にあると思ってますので、これからもその辺の角度から記していこうと思います。