
なんとなく居場所を探す

なんとなく居場所を探す
突然だが僕には居場所がない
昭和の仕事優先サラリーマンオヤジのような物言いからスタートしたが、家庭に居場所が云々ではなく僕は地元で気軽に立ち寄るお店やコミュニティをいっさい持ち合わせていないのだ。
ひとりの時間といえば未知のラーメン屋やカレー屋を調べて立ち寄り、心を毳立たせ周囲に殺気を放ちながら食し、その後は無駄にダラダラと遠回りをしながら帰路につくのが習慣化しており、そこにリフレッシュや心の洗濯はあるのかもわからず街を漂う肉塊としての日々を過ごしていた。
大学時代にレコードバーに通っていたのはかなり稀なケースで、僕は同じ場所に定期的に通ってコミュニティの中に入っていくのがとても苦手なのだ。
となるとやはりクラブも苦手になってくる
音楽を流して踊ったり会話などからUnityを得るという空間はとても好きで、さらに自分がバンド活動でいうライブハウスなどでそれに近い空間を作っているにも関わらず、なんとなく輪を広げるか孤立するかの岐路に立たされる場面がとても苦手だ。
最初は知り合いに挨拶を済ませるのだが気づくと知り合いが別な仲間としばらく談笑しており、そういう時こちらとしてはどうしていいものかわからなくなる。誰かと話そうにもメンタルとしては尻込みしてしまい、どんどん居心地が悪くなっていく。結果僕は孤高のヒーローぶって人混みを掻き分けすたすたと出口を目指し、客観的にはアメリカンハイスクールムービーのモブキャラかのように映っていることも露知らず、タスクとしては何の成果も得られずに帰路につく…
そんな経験の記憶が何度もある。
思い出させるんじゃない
思い出すんじゃない。
そしてそんな日は恥ずかしさと自己嫌悪からやりきれない気持ちになり、自宅でしこたま熱いシャワーを浴びてふて寝する
それもまた恥ずかしい。
2度恥ずかしいのだ。
とはいえなんとなく通えるコミュニティは欲しい。音楽活動と繋がれば尚いい
そんなふうに思って怠惰に日々を過ごしていると、好きなカレー屋さんとある田舎の酒屋さんが合同で「DJが流す音楽を聴きながらカレーとお酒を楽しめるイベント」を開くという話を聞きつけた。
これなら気兼ねなくいけるかも…と思った。
仮にその場で孤立したとして
「慌てることはない。なぜなら僕はあくまでカレーを食いにきた。それだけだ」と大義名分を自分に叩きつけて納得することができるだろう。
そんなわけで知り合いが1人もいない状況だが平静を装ってそのイベントに参加することにした。
新潟市の西はずれにある街にたたずむ酒屋「岸本商店」さん。初めての訪問だが見た感じは古き良き酒屋さんという感じ。中に入ってみるとやはり古き良き酒屋さんなのだが奥から気持ちのいい音楽が聞こえてくる。奥を覗いてみるとなんとレジの横にターンテーブルと数人のDJが…
これは楽しい予感
スパイスプッシャー164さんの出張カレーを楽しみながら店主と他愛もない会話に花を咲かせ、酒造さんが振る舞うお酒も楽しむことができる。僕は車で来ていたのでノンアルコールビールをいただいたがそれもまた美味しい。DJがblurやボンイヴェール、BECKなどを忍び込ませた素敵な選曲に都度都度ハッとしながら、クラブ行きたて少年のような気持ちで楽しんでしまった。
滞在時間は40分程度。
誰と仲良くなるわけでもなくコンテンツのみ楽しんで帰るわけだが気持ちはちょうど良く満たされていた。岸本商店さんは他にも色々なお店とコラボしてイベントを積極的に開いており、常にそこに音楽も絡まっていてそこも興味深い。
お食事などのテーマが絡まると社交場としてのバイアスが弱まって僕としては過ごしやすさが増す。クラブは苦手だが音楽と絡まりつつ色々なテーマがあると個人的にぐっと居心地が増す。
車で来たので家で飲む用にクラフトビールを2本買って帰ることにした。ついついジャケ買いしてしまいたくなる奈良醸造さんのクラフトビール…帰って飲んだら個性的で最高だった。
少し遠いけどまた行きたい酒屋さんである。
地方に移り住んでDJなどする機会もほぼ無かったが、こういったイベントで回してみたいな〜と心底思った。
地方では代が変わって新しいチャレンジをしている企業やお店がしばしばあって、その新しさが僕の趣味とピントが合うことがたまたま多かったりするのでとても刺激になる。
少し落ち着いたらまた行きたい。
そして他にも県内で入り浸ってみたいお店がいくつかあるので、また行ったらこちらで紹介したいと思う。
友達少ないんで是非新潟にも遊びにきてね
その時に紹介したいお店をまた見つけられるよう、少しは重い腰を上げていきたいと思う